「その商品には、何パーセントの関税率が設定されているのか?」
この関税率を調べるときに便利なツールが「WEBタリフ(ウエブタリフ)」です。そこで、この記事では、ウェブタリフの使い方、注意事項などを説明していきます。なお、総額20万円以下の輸入には、少額輸入貨物の簡易税率が適用されます。
WEBタリフ
ウェブタリフは、日本関税協会が運営する「関税検索サービス」です。実は、税関でも同じように「実行関税率表(じっこうかんぜいりつひょう)」を提供していますが、ウェブタリフの方が使いやすいです。2つを見比べてみて、ご自身が使いやすい方をご利用ください。なお、この記事では、輸入編と輸出編の両方をご紹介しています。
ウェブタリフで調べられること
ウェブタリフを使えば、日本に商品を輸入するときに支払う「関税率」がわかります。関税は、商売目的、個人使用目的問わず、自身の負担額に直結します。同じ1000円の物を輸入したときに、100円の税金がかかるのと200円とでは、大きな違いですね。品目によっては、極めて高い関税率を設定しているため、注意が必要です。
例えば「革靴」です。革靴は「30%または、一足当たり4300円のどちらか高い方」の関税がかかります。仮に10000円の革靴であれば….
- 10000円×30%=3000円
- 一足当たり4300円
この2つのうち、高い方を選びます。この場合は、4300円の関税となり、輸入原価は、商品価格10000円+関税4300円の14300円です。いかがでしょうか? 商品価格に対する関税の重さがわかっていただけたかと思います。ウェブタリフを使えば、この関税率を簡単に調べられます。
ウェブタリフの読み方
ウェブタリフを使うときは、次の3つのポイントを意識しましょう!
- ~を含むなどの違い。
- 類注や部注
- 段落ちちの見方
1.~を含む、~を含むかは問わないの違いとは?
WEBタリフの品目欄を見ると、文中に「~を含む」「~を除く」などの表現があります。このとき、誤って「除く」と指定している物を含んでしまったり、逆に含むべき物を含まなかったりすると、誤った関税率にたどりつきます。
下の画像をご覧ください。左側の数字がHSコードです。これは、様々な商品を数字で表す世界共通の番号です。右側にあるのは、その数字に対応する品目です。この説明に注目します。「~に限る」や「~を除く」「~かは問わない」という表現がありますね。赤枠の1番を確認すると「いったものを除く」と書かれていますね。2番では「いったものに限る」と書いてあります。
このことから、0901.11-000や0901.12-000の商品は、焙煎していないコーヒーであることが条件です。逆に0901.21-000や0901.22-000に含まれるものは、焙煎していなければいけません。その上で、さらにカフェインがあるのかで商品の分類があります。このように、文章末にある表現を注意深く確認していきます。限る、問わない、~除いたものなど、表現方法は様々です。
2.類注や部注をチェックしましょう!
商品の関税率を調べるときは、対象の商品を上から順番に少しずつ絞り込んでいきます。大分類>>中分類>>小分類のイメージです。ただし、関税表的にいうと、この分類は、部>>類>>項>>号です。この中にある部や類には、分類に関する注意事項が書かれています。下の図の赤枠や緑枠部分がそれにあたります。
例えば、9類の「類注」部分を押してみると、以下の注意事項が表示されます。「この9類には、どんな物を含みますよ~」や、「含みませんよ~」を伝えています。商品の関税率を確認するときは、まずは、この部注や類注からスタートします。この類注などで除外されている物があるため注意が必要です。
3.段落ちの見方になれましょう。
ウェブタリフをは、段落ちも重要です。以下の画像をご覧ください。赤枠をみると、それぞれ右方向に落ちていることがわかりますね。左側にある「0901」から一段落ちているのが「コーヒー(いったものを除く)」と「コーヒー(いったものに限る)」です。さらに、そこから一段落ちしているのが「カフェインを除いていないもの」「カフェインを除いたもの」です。
段落ちのポイントは、同じレベルで落ちている物同士を見比べることです。例えば、0901の中には、一段段落ちしている物が、全部で三つあります。「コーヒー(いったものを除く)」、「コーヒー(いったものに限る)」、「その他のもの」です。同じレベルで段落ちしている物を見比べます。
もし、1番や2番に含まれていれば、さらにその中で段落ちしている物を見比べます。このように同じレベルで落ちている物同士を見比べていくことによって、最終的に最も適切な品目にたどりきます。
関税率を調べるまでの流れ
それでは、実際に商品の関税率を調べる流れをご紹介します。まずはウェブタリフ輸入版にアクセスします。下の画像がトップページです。2~4の好きな方法によって、関税率を調べられます。キーワードも統計番号も知らない方は、2番の「一覧から参照」をクリックして、上から順番に特定していきます。
1番は?→輸入する国が決まっているときは、ここで国を指定します。表示される画面が絞られるため、とても見やすいです。
前の画面、「一覧から参照」を押した画面が以下の画像です。右側にある品目の説明部分を参考にして、最も適切な類を押します。このとき、右側にある部注や類注を確認して例外規定がないのかを調べます。例外規定があるときは、その指示通りに対象の類を選び直します。
類を選ぶと、以下の画面が表示されます。下の図は、9類を押した物です。右側の他法令は、商品を輸入するときに特別な法律が関係するのかを示します。また、赤丸部分は、類注(この場合、9類に関する注意事項)です。ここでも品目部分を照らし合わせて「09.01~09.10」の中で最も適切な物を選びます。
上の画像の09.01~09.10のいずれかを押すと、以下の画像が表示されます。左側からHSコード(赤枠)、品名(緑枠)、関税率(紫枠)、経済連携協定(青枠)の4つのブロックに分かれています。それぞれの役割は、次の通りです。
- 赤枠/HSコード・商品を数字で表した物 世界共通部分は、上から6桁分。下の3桁(青数字部分)は、日本独自のコードです。
- 緑枠/品目・商品の条件を示します。~に限るなど、細かな表現に注意します。
- 紫枠/関税率・一般的な国の商品に対して課税される関税率です。基本的には、WTO協定税率か、特恵税率が当てはまります。
- 青枠/EPA・一部の特別な国の商品に対して優遇措置を与えた関税率です。
商品に対する関税率とは、緑枠の品目から最も適切な商品を選び出した上で、紫枠か青枠から、適切な関税率を一つだけ適用することです。紫枠か青枠から選ぶかの基準は、EPAを締結している17の協定国であるのか?です。
2024年4月現在 | |
発効済(利用できる国) | シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11、日EU・EPA、米国、英国、RCEP(韓国+中国+アセアン+オーストラリアなど) |
交渉中 | トルコ、コロンビア、GCC、日中韓 |
その他(交渉中断等) | カナダ、韓国 |
ここまでの説明で色々と難しいことを説明しました。とてもシンプルに考えれば、以下の画像のように縦と横がクロスするところが関税率です。横軸は、輸入する商品の条件を示しています。一方、縦軸は「それをどこから輸入しているのか?」です。この輸入する品目の関税率です。
おさらい
ここまでの全体的な流れを示した物が以下の画像です。1番から順番に調べていきます。
他法令の調べ方
関税法70条の規定により、ある一部の品目を輸入するときは、税関の許可を受けるにあたり、他機関の確認が必要なときがあります。これを「他法令の確認」と言います。他法令の確認貨物で一般的な物は、次の物です。その他、およそ30ほどの他法令があります。実は、WEBタリフでも、この他法令を調べられます。
- 医薬品
- 食品
- 植物系統
Web輸出統計品目表の使い方
を開きます。
一覧から参照を開くと下記の図が表示されます。赤枠は、1類~97類まであります。世界中のすべての品目は、この類のいずれかに分類されます。紫枠は、各類に含まれる代表的な品目を表示しています。こちらの紫部分を参考にして類をクリックします。緑枠は、各類における注意事項が記載されています。
例えば、○○という商品は、この類には含まれないなどの注意が書かれています。
1~97類を代替の種類ごとにまとめているのが「部」です。部には「動物」「植物生産品」「調整品」など、21存在します。つまり、類と部の関係は、部>類です。
第1部に属する表を詳しく見てみます。この表による1部には1類~6類存在することがわかります。各類の代表的な品目は、右側に記載されています。
第一類の部分をクリックすると、以下の画像通りに画面が移動します。一類をクリック>>一類の中の項目をクリック>>該当部分の詳細が説明画面
このように、類から徐々に絞っていき、貴社が扱っている商品のHSコードを特定していきます。
冒頭でも申し上げた通り、品目はキーワードからも検索ができます。
まとめ
ウェブタリフは、商品の関税率をウェブ上から簡単に調べられるサービスです。とても簡単に使うことができますが、表の見方には3つの注意事項がありました。「1.~を含む。~に限るなどの表現」、「2.類注や部注に例外がないか?」、「3.段落ちの見方」です。これら三つのポイントを意識してウェブタリフを積極的に活用してみましょう。
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